ルッキズムと自己矛盾

私は人の容姿をあれこれ言う人が嫌いだし、そういう人を軽蔑している。

「ブス」や「デブ」といった言葉は、冗談や自虐でも口に出したくない。「うんこ」って言うのに抵抗があるのと同じ感じ。

民放のテレビ番組では、美人扱いされていない芸人が過酷に体を張った企画をさせられていたり、容姿を馬鹿にされていたり、彼ら本人が進んで自虐をしたりしていることがよくあって、見るのが辛くなることがある。


容姿に強い劣等感を抱え、整形を繰り返す人を見れば、美容整形よりもカウンセリングに通ったほうがいいんじゃないかと心配になる。

容姿は人間の一部分でしかない。容姿に自信が無い人は、別のことを頑張ればいい。容姿が悪くたって、学歴や技術を身につければそれなりに生きていける。

容姿が必要になる特殊な仕事をしているわけでもなければ、人生において容姿が必要なことなんて恋愛くらいだろうし。仕事や家と違って、人間は恋人がいなくても生きていける。孤独を感じるなら友だちを作ればいい。


そう思っているのに。

そう信じているのに。


私は容姿への強いこだわりを消すことができない。他人が太っていようが美人でなかろうが見下してはいない。でも自分が太ること、今より更に不器量になるのはすごく嫌だ。これは他人が太るのも否定することに繋がるから、よくないのはわかっているのだけれど。

私は容姿で生きていくタイプではないのに。男の人に頼らなくても生きていけるように勉強して技術を身につけたのに。

太るのが怖くて、低糖質ではないアイスを食べられない。麺や米は半分残さないと気が済まない。誕生日にもケーキは食べなかった。美人でないから、せめて痩せていないとという強迫観念。シンデレラ体重を切っていないと落ち着かない。食べるのが楽しくない。


本心からルッキズムを否定しているのに、きっと人より容姿に囚われている矛盾。そんな自分がとても恥ずかしい。