濡れた床恐怖症

私には、子どもの頃から苦手なものがある。


共同浴場の床、脱衣所の床、プールサイド。

つまりは濡れた床が駄目。


小学校のプールの着替えも、その後の水泳の授業も苦痛で仕方なかった。まあ、カナヅチだからっていうのもあるけど。

昔風呂場とシャワールームが共用の寮に住んでいたけど、毎晩大急ぎで体を洗って、ビショビショの髪のまま脱衣所を飛び出した。


本当に小さい頃、10歳にもならない頃はそうでもなかったのだが。父によくプールに連れて行ってもらっていたし。

いつからか、プールサイドに誰かの膿や体液や剥がれた絆創膏が落ちている気がして耐えられなくなった。

寮生活では、ほかの寮生が風呂場で歯磨きをしているのを見てゾッとした。

不思議なもので、私は全く潔癖症ではなくて、汚部屋住みといってもいいくらいなのだけど、濡れた床だけがともかく駄目だ。


ちなみに、自宅の風呂場や2人部屋の寮の風呂は平気だったから、おそらくは不特定多数が歩く濡れた床だけが駄目らしい。


水を通じて汚いものが体に入ってくるのが嫌なのだろうか。入浴すると指がふやけるみたいに、水は体に染み込んでくるから。裸足という無防備な状態も汚れを防ぎようがないし。


今は両親と暮らしているから風呂場の床も平気だし、日常生活に支障が出るほどの苦手ではない。

強いて言えば、いつか友達と温泉に行ってみたいけど、脱衣所と風呂場の床を想像するだけで意思が崩れることかな。まあ今コロナパニックで、温泉旅行なんて行ってる場合ではないのだけれど。